戦場のメリークリスマス

新・習劇 第11回 『戦場のメリークリスマス』
「おまえは悪魔か。」

凄い好きなのにDVD買っていない数多くの中の1つ、
戦場のメリークリスマス』を久々に観る。1月なのに。
毎度の事だが教授が扮するヨノイ大尉が素敵である。
戦場なのに『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥールばりの
アイシャドーがなんともモード系です。嫌いではない。
’80年代に大人でいたかったとしみじみ思います。
トーキング・ヘッズかモリッシーばりのダボダボなジャケット着て、
パルコを闊歩したかった。
デビッド・ボウイと教授と主題歌はデビッド・シルビアンで
ニュー・ウェーヴしてるから好きなのだなぁ、この映画。
教科書問題云々と世間では騒がれているけれども、
この映画なんかの方がよっぽど勉強になる気がするのだ。
馬鹿ではないが盲目であった日本がきちんと描かれているし、
お国に左右されない個人の評価などが描かれている。
2・26で死に遅れたヨノイみたいなの
や感化されやすい若い将校やら、兵士みたいなのは多く存在していたのではとも感じる。
それが故に悲惨なのだと思うのだ。
実際その時代に生きていないので知らないけれども。
トム・コンティ扮するロレンス言う、
「お前らの汚れた神のせいだ」
と、国を否定する気はさらさらないが、それも事実である。
隣人を愛する事はムズカシー。

それはそうと、このところ立て続けに太平洋戦争ものを観ており、
切腹シーンをよく見る。
ハラキリのシーンは数多くあれど、やっぱりすごいのは
日本のいちばん長い日』の三船かと思われる。
介錯のいらんハラキリほどのド根性は私にはない。
せいぜい戦メリの中で、カマ堀りの汚名を着せられた軍属くらいの
切腹しかできんであろうと思う、もしくはそれ以下か。
誰かおすすめのハラキリあったら教えて下さい。

と、云う事で大島渚繋がりで『新宿泥棒日記』が久々に観たい。
うちの近所のレンタル屋には置いてないのです、
そもそもDVD化されているのか?
愛のコリーダ』でも観るか。。。

菊の御紋の入った恩賜の煙草を吸いたい。

ツィゴイネルワイゼン

新・習劇 第8回 『ツィゴイネルワイゼン』
「おじさんのお骨を頂戴。」

先週の話ですが、鎌倉へ小旅行に行ってきました、
地味に『ツィゴイネルワイゼン』ツアーをしに。何故か今。
相方さんには悪いが、行き当たりばったりな私によく

付き合ってくれていると思います。
ツアーと題しておきながら、どこに何があるとかのリサーチは
まったくしない上、宿も予約しない始末。
前日の夜に横浜の安ホテルに一泊したのだが、さすがは大都会横浜、滅多に行かないせいかどこに何があるのかさっぱり分からなかったが、なんとか寝床は確保。最近のホテルはプレステあるのね。
翌日は北鎌倉経由で鎌倉を目指す。

一番の目的は『ツィゴイネルワイゼン』に出てた切り通しであったのだが、どうやら鎌倉には七大切り通しなるものがあるらしく、当然下調べもなく見つかる訳がない。
それでも思い込みとは怖いもので、何故か北鎌倉にあるだろうぐらいで、一日歩き続ける。
まずは切り通しがありそうな源氏山へ。険しい山道を2人、コンバースで無理矢理登頂。切り通しも規模は小さいものの、立派のものでした。その後、何故か散々遠回りして銭洗弁財天へ。少ない所持金を水で清めてみる。
しかし鎌倉には豪邸が多い、門から屋敷までやたと距離のある家なんかがやたらとある。羨ましい限りである。
途中一休みして、昼からビール。幸せこの上ない。
最後は鶴岡八幡宮で『ツィゴイネルワイゼン』のごとく締める。

結論、旅って疲れますね。
ちなみに『ツィゴイネルワイゼン』の切り通しは釈迦堂の切り通しと云うらしく、現在は通行止めなのだそう。

次回はヴェンダースばりに小津さんの墓参りでもしようかと思っております。

日本のいちばん長い日 / 肉弾

新・習劇 第4回 『日本のいちばん長い日 / 肉弾』

「死んじゃ駄目だよ、兵隊さん。死んじゃちゃあなにもかもおしまいだ。」

靖国問題がヒートアップしそうな今日この頃、もうすぐ8月15日である。

私はもちろん戦争を知らない世代である。731関連の本も読んだ。しかしアジア諸国の反発にはいささか納得がいっていない、特に若者たちのそれは、少しおかしいとさえ感じる。だから、まず実際に体験した人の話に耳を傾けるべきなのだ。

私の最も好きな監督の5人の中の一人、昨年2月に他界した岡本喜八監督の68年公開作品が今回取り上げる『肉弾』。前年にこれまた名作の67年『日本のいちばん長い日』。私はこの2作品がとても好きである、要するに納得がいくのである。

終戦間際の日本の上層部をシリアスに描いた『日本のいちばん長い日』。

終戦間際の日本の末端をコメディで描く『肉弾』。

この対象的な2作品は他に類を見ないほど素晴らしい。戦争を知っている喜八監督の言葉だからこそ、納得がいくのである。

私が喜八作品に出会ったのは23歳くらいと結構遅く、それまでは単館系の映画ばかりをとにかく毎日の様に観ていた。初めて観た岡本作品は『近頃なぜかチャールストン』、こちらも戦争の生き残りをコメディタッチで描いた作品だが、まず開始してすぐにエンドロールが始まったのになんだこりゃと思いました、日本にもこれほどまでに面白い映画をつくる人がいたのかと。今、考えるとまったく逆でこの時代の日本の監督が世界に与えた影響はかなり大きい。そんな訳で日本映画に興味を持ち始め、○草東宝のオールナイトにも頻繁に足を運ぶ様になる。ここで観た『日本のいちばん長い日』は凄かった、何が凄いかと言うと、観客の大多数が浮浪者で、まぁ、恐らく戦争を経験してきているであろう人々。その後、浅○の別の映画館に勤める事になり、この様な人々は大体、宿代わりに寝に来ている事が分かったのだが。

この一例からとってみても戦中派の生命力は強い。とは云え働いている時に座席で死んでる人見ましたが。多分、凍死か餓死か、私の嫌な経験の一つです。

『肉弾』の寺田農が演じる主人公の「あいつ」はまさしく喜八監督自身の分身であり、古本屋の親父の笠智衆の語る「死んじゃ駄目だよ、兵隊さん。死んじゃちゃあなにもかもおしまいだ。」と言う言葉は説得力がある、なるほどと素直に思えるのである。

と全く解説にはなっていないが、日本人として観ておくべき映画の一つと私は位置している。今の時代にアルチザンはどれだけいるのか、あらためて偉大な監督を失ったのだと思う。